触ってみて分かった鳥越俊太郎氏の固い意志と行動力

　東京都知事選に出馬表明した鳥越俊太郎氏の意志の強さをかつて体感したことがある。

　１０年前の２００６年２月。直腸がんを告白し、手術したばかりの鳥越氏をインタビューした。病名が病名で、さらに病み上がり。こちらも失礼がないように神妙なテンションで臨んだ。

　だが手術明けの鳥越氏は「別に手術は怖くなかったね」とあっけらかんとしていた。「人生６５歳までと思っているから、あとはおまけみたいなもんだよ」。気さくな雰囲気に、私も思わず「何でいつもボタンを２つあけるんですか？」と思ったままに質問。すると「きちっとしているの嫌なんだよ。基本的にはズボラだから」と笑い飛ばしていた。

　仕事上は病気や著作について聞くインタビューだったが、実は個人的に狙いがあった。今でこそ様々な運動に励んでいることが知られている鳥越氏が、当時はダンディーなテレビキャスターというイメージだった。あるテレビ番組で「スクワットを毎日３００回やっている」とサラリと言っているのを聞いて、かつて筋トレを日課にしていた身としては驚いた。毎日できる回数ではないだろう、しかも還暦を過ぎているのに、と正直疑っていた。

　そしてインタビュー中。健康維持の話題になった時に切り出してみた。「すみません。足を触らせて下さい」。触れば見破れると思ったからだ。すると鳥越氏は「いいよいいよ、ほらっ」と軽く応じてくれた。

　そして実際触ってみると、一瞬細いかと思われた足はカチカチ。さらに筋肉が隆起していた。かなり鍛えているのはウソではない、とすぐに分かる。さらに「昔は朝と夜とで１００メートルずつ泳いでいたんだけどね」と笑う鳥越氏。私はうたぐり深い性格を反省した。

　実際にインタビューし、足を触らせてもらうまで、普通の気さくな方だと思っていた。実は内には、固い意志と行動力を秘めているのだと思う。もちろん筋肉と政治は関係ないが、鳥越氏が今後、どのような選挙・政治活動を展開するのかが楽しみだ。




（２００２年～０８年社会担当・浦本将樹）
2016年7月12日19時30分 スポーツ報知
http://www.hochi.co.jp/topics/20160712-OHT1T50165.html